【和食】 ふく (築地) | デートに使える女社長の東京グルメ日記

【和食】 ふく (築地)

築地に住んでいても知らないお店がたくさんある。
食べログにもぐるなびにも載っていない。
知っている人だけがこっそり口承伝達して訪れるような場所。

作家の野地秩嘉さんが指定したお店は『ふく』という築地本願寺の裏側に位置する店だ。電話番号も住所も教えてもらったのに、近くに着いたら電話をしてという。近所に住んでるんでわかりますよ、と強気で言ったものの、その住所に着いても店らしいところがない。ビルすらも特定できない。

デートに使える!女社長の東京グルメスポット日記★-築地の隠れ家 ふぐ料理


キョロキョロしていると電話が鳴って、朝日新聞の大西さんが「迷ってるでしょう」と電話片手に出てきてくれたのは、半分閉じた「通用口」と書かれた門柱の向こう側から。細い路地の奥に、かろうじて「ふぐ料理」のノボリが見える。確かにわかりづらい。というより、わかるわけがない。

カウンターとテーブルふたつの小さな店内。店長ひとりで切り盛りしている。席がすぐ埋まってしまいそうな狭さだった。有名な作詞家の実弟・秋元さんと合流して、お店はパンパン。某ロハスな雑誌の編集長さんがいて、オリジナルの焼酎を貰った。マスコミ業界には食通が多い。

デートに使える!女社長の東京グルメスポット日記★-【和食ふぐ料理】 ふく (築地)


出てきたお通しは、宝飾品のような透明感のあるふぐの煮こごり。
ほどよいゼラチン質とふぐの皮の弾力が絶妙だ。

デートに使える!女社長の東京グルメスポット日記★-【和食ふぐ料理】 ふく (築地)


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新鮮な白子ポン酢。
ふっくらサクサクのカキフライ。

デートに使える!女社長の東京グルメスポット日記★-【和食ふぐ料理】 ふく (築地)


これが目当てで2ヶ月間で2回リピートしたふぐのから揚げ。
揚げたてにすだちをギュっと絞ると、旨みが増す。
アツアツを手づかみで骨まで吸って食べてしまう。

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関西の人はなじみだというめじまぐろ。「めじ」は幼魚に使う接頭語のようで、マグロの幼魚で体長の短いものを刺すようだ。寒い季節に美味しいこれは、脂が控えめで上品な甘み。東京ではあまりあえて指定して頼まないかもしれない。赤身が好きな人にはもってこいかも。

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そういえば、最近の飲み会で
「絶対落とせるデートスポットを教えてください」
という質問を立て続けに10回くらい受けた。苦笑いしながら毎回お返しするのは

「万人に効く場所というのは存在しません。
 ご一緒する相手の期待値がどこにあるかを探り、
 その期待にストレートに応えつつ、
 意外性をついたポイントをいくつか散らすのがバランスがいいと思います。」

という回答だ。模範解答は存在しなくて、相手のことを理解しようというスタンスから考えて、初めて生まれるものなのだ。
たとえば、ここ『ふく』は旦那がひとりで切り盛りしていて、カウンターと4人掛けのテーブル二つのみ。飲み屋街によくある、ちょっとひなびた小料理屋の佇まいだ。デートに女性を連れてきて、足を踏み入れたら「わぁ素敵!」と言わせる類では全くない。

それでも、女性心にアドバンテージが高いなあと思わせるのは、
「冬だからふぐでも食べるか」
という旬を心得た、さりげないメニュー選びの粋さ。
見つかりづらい入り口に見える隠れ家感。
中に入ると、食通と思われるギョーカイ人がいるのも、ちょっとミーハーだがわかりやすい太鼓判だ。
そして料理が〝美味く"て〝安い"こと。築地という地域性をたっぷり感じられるメニューは、ここに移動して来た甲斐があったと思わせる。

食通の人間に対しこういったものが揃うと、満足度があがって
「また連れてってください!」
に繋がるのだと思う。夜景やワインや高い価格だけが効くわけでないのですなぁ。

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最後に、ふぐと野菜の旨みがでたてっちりのあとの雑炊。
何杯でも食べられる美味しさ。

色々言葉を並べたが、美味しいものが食べられたら、
ほとんどの人は満足するでしょうけれど。